片想連鎖 ~伝えたい心~

逃げる様に友達のアパートを出て、
何も考えずにフラフラと一人歩く。

昼前に出てきたはずなのに、いつの間にか空は深いオレンジと濃紺のグラデーションに変わっていて、もう夕方なんだと気付いた。

一泊分の荷物が入ったバックは行く時よりも重く感じて、まるで私の気持ちの様だと苦笑いをして。


重くなった私の足取りは、
それでも自宅前へと導く…



玄関を開けた瞬間、左頬に痛みを感じた。


「何がしたいんだお前は!連絡もしないでっ!」


私を出迎えたのは、お父さんの怒鳴り声と、初めての平手打ちだった。


少し前の私なら、きっと逆ギレしながら言い返してる。
でも、そうしなかったのは、昨日の出来事の胸の痛みがあったから。
【後悔】からの後ろめたさがあったから。


「母さんが心配して、友達の家に連絡してまわったんだぞっ…。美樹ちゃんも、心配してた。」


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