片想連鎖 ~伝えたい心~

溜め息をつく私の横で、ナオは笑顔を消して真剣な表情に変えた…。


「テンパったのは、明奈だけじゃないんだ。」


「へっ?」


「俺は”待つつもりだった”って言ったけど…。」


「…けど?」


「明奈、いつも家まで送り届けた時に…その時だけ、”女”の顔になるんだよ。」


「女の顔って…」


それは、私がナオから離れたくないと思った時の事だった。

その時だけ、私は”女の子”じゃなく”女”だったんだね…。


「そういう明奈を見ると、衝動的に何かしそうで…。俺は俺で、怖かったんだ。明奈を傷付けそうで…。別れを言われた時、心の何処かで、ホッとした自分がいたんだ。だから、明奈だけのせいで別れたんじゃないんだよ…。」


『もしかしたら、俺の方から”別れよう”って言っていたかもしれないんだ。』
そう付け足して言ったナオは、切なそうな顔をしたんだ…。

私にもそれが移ったかの様に、胸を締め付けた。



だから、私は、ナオに…

自分の素直な気持ちのままに…

囁いた…



「キス……してくれる?」






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