片想連鎖 ~伝えたい心~

結局、差出人自身の名前はどこにも打ち込まれてなかったけど、メールの内容からしても”佐々木君”に間違いなかった。

『先生ウケが良いとか、確信犯!』
『フォローって、頼んでないし!』
『だから、私はお子ちゃまじゃない!!』
『早速、名前呼び捨てにしてるしっ!』

とか、色々な文句を口に出してはみたけれど、不思議と今までのような嫌な気持ちはしなかった。

携帯に新しく登録された”男友達No.1”という言葉の響きが、新鮮だったのかもしれない。


「ネーミングセンスはどうかと思うけど…ぷぷっっ。」


あんな風に言い合える男友達なんて、今までいなかったし。
佐々木君の言っていた、
『新しい藤原さん発見!』という言葉が、今の自分に一番しっくりくると思う。


明日は佐々木君と普通に話してみようかな?
私が毛嫌いしていただけかもしれないし…
初めての男友達かぁ…


そんな事を考えていた私は、自然と頬が緩んでいくのを感じたんだ…


その後、私は佐々木君に皮肉めいたメールの返信をして、夕飯作りに取りかかった。

作っている最中に、またメールの着信音が鳴ったけど、今度は誰からのメールか分かっていたせいか、私はニヤニヤしながら携帯を開いた。

相手は思った通りに佐々木君からで、本文中に
『Σ(゜ロ゜;)なにぃ?!そっち?!』
と打ち込まれてあったから、その驚く姿を想像して噴き出すように笑った。

佐々木君の反応に満足した私は、
『ヨロシクね?海ちゃん!(*^∀^*)』と返信。

すると直ぐまた佐々木君からの返信で…
『ちゃん付けはやめてくれぇ!( ̄▽ ̄;)』の嘆き。


そんなやり取りを、飽きる事なく日付が変わる頃まで続けていた…


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