誠につもる白雪かな
ー桝屋夜八ツ半(02:15)ー


喜「なんやえろぉ待たせてすんまへんなぁ?」


笑みを浮かべながら喜右衛門が入ってきた。


凛「別に待ってない...」


喜「女子は女子らしゅう...媚売っとき!」


凛の脇腹を蹴り上げた。


凛「うっ....」


喜「あんさんをどないしよか話し合ってたら遅くなったんや〜...殺してもええんやけど...こないにええ顔なら勿体無いわ。拷問もいろんな種類があるん知ってはるやろ?」


はよぉ吐いた方が身のためや....


そう言って凛の前にしゃがみ込むと襦袢の襟を掴み上げた。


凛「やめっ!」


喜「ここに来たんは...誰の差し金や?」


喜右衛門は首筋に刀を向ける。


凛「っ...」


喜「言わへんのか...まぁええ。」


凛は唇を噛んだ。
言う訳にはいかない。
みんなを危険に晒すわけには
いかなかった。


喜右衛門は刀を月明かりにかざした。


凛「っ...好きにしな...」


喜「強情な女子や...」


喜右衛門は鼻で笑うと立ち上がった。


喜「凛はん...鉄の味は知らんやろ...」


高笑いをしながら剣先で凛の顎を持ち上げる。


凛「っ...‼」


喜「痛いか?吐けば優しゅうしたるよ?くくっ...」


口角をあげ凛を見下ろす。



凛は悔しさの中に


なぜか沖田のことで頭が一杯だった。


喜「ちっ...ほんまに聞き分けのない奴や。好きにしぃ。後悔するんはあんさんや。」


そう言って剣先を離すと


空を切る様に何度か素振りをした。




凛「っ‼‼‼(今だ!)」


喜右衛門が刀に気を取られた隙に凛は思いっきり蹴り上げた。


喜「うっ!!こんの...っ...クソ餓鬼!」


蹲る喜右衛門を横目に側におかれていた凛の刀を取り縄を後ろ手に切った。


喜「待ちや‼‼」


痛みで動けない喜右衛門を残し凛は蔵を脱出した。

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