誠につもる白雪かな
近「それにしても、総司は洋装も似合うな~。うらやましいよ!」


総「そうですかね...」


近藤も切ってはいたもののその顔立ちからは、やはり髷のほうが似合っていた。
それゆえ着物ばかりを着ていたのだ。



一方沖田は、藍色掛かった髪を土方の命令により凛の手で短く切られていた。


さらさらと目の上で揺れる前髪は色白の沖田の顔だちをさらに際立てている。


総「この前髪が鬱陶しくて...コートもブーツも窮屈で仕方ないですよ。」


苦笑いしながら肩をすくめて見せる。


近「しかし...」


突然立ち上がり窓辺から外を見つめる近藤を不思議そうに目で追う沖田。


近「最近よく思い出す。多摩の頃をな。」


総「土方さんも同じこと言ってました。」


近「そうか。」


嬉しそうに沖田を見る近藤。


近「あのころは何も考えず楽しく生活することだけを考えて生きていた。試衛館の四代目を継いで平和に生活するものと思っていた。でも今は一国一城の主だ。人生とは不思議なものだな...」


そういって再び窓の外に目を向けた。


総「いいんじゃなですか?それも。自分の人生なんて...分からないものですよ。」


沖田も立ち上がり近藤の隣に並ぶ。


近「はは!!それは凛のことか?」


総「さぁ~...どうでしょう?」


子供のような笑みを浮かべて近藤を見る。


総「でも...私は近藤さんに会えてよかったですよ。近藤さんたちと京に上り、たくさんの人を斬りました。剣を抜くのが楽しくて仕方ないときもあった。でも今は人を斬る辛さも知っています。凛が来てくれたおかげであぁいう環境でも人間らしくいられたと思っているんです。今はこうやって平和な時代になった。だから今度は私が凛の為に幸せを作りたいんです。」


そう言った沖田の目は近藤ですらも驚くほど決意に満ちたものだった。
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