ハンバーガー質小井店。

****、はなんですか?


某ハンバーガー質小井店に通い始めて丸2ヶ月。


「スマイルくださいっ!」


「ありがとうございます。お会計、620円です。」


今日もまた綺麗に流される。

はっきり言うと、凹む。
頭の天辺が足のつま先に付きそうなほど凹んでいますよ。

まぁ、諦めないけど。

俺には夜な夜な考えた秘策がある。
2ヶ月が経ち顔見知りになった…次のステップは…?


「オススメはなんですか?」


やっぱこれだよな。

レジで接客用の笑みを浮かべていた彼女は、俺の言葉にきょとんとした表情から焦った表情へと変わり、レジ横に置いてあるメニュー表へと目を走らせた。


「えっ、あっ、…はい。只今、期間限定のバーガーが2種類ありまして。2つ共ボリュームがありますが、お肉をがっつりと食べたい方には此方で、さっぱりしたお味がお好みなら此方がオススメです。」


「あー、じゃぁ、こちらのセット、ドリンクコーラで。」


「ありがとうございます。お会計700円です。」


ここ何ヶ月か通って気付いたことは、彼女は冷静で少し素っ気ない。
それは俺に対してかもしれないが、客席から眺めていても、いつも彼女は誰相手でも無駄が無く、笑顔を浮かべたままだ。
俺みたいな輩もいるわけで…何度か絡まれた所を見かけたことがあり、ここで恰好良くヒーロー登場―…なんて隙も作らず上手く躱してしまう。
そんな彼女に物足りなさを感じたりするが、其処が彼女のいい所だと考え直した。


「お待たせいたしました。ごゆっくりどうぞ。」


焦ったのは一瞬。
直ぐに立て直した彼女は接客が上手なんだと思う。
もっと沢山の表情がみたいと思うのは変態だろうか…?


さて、今度はどんな手を使って彼女の気を引こうか。




□オススメ、はなんですか? END■

< 3 / 28 >

この作品をシェア

pagetop