かっこ仮。の世界。
目が覚めたら、血塗れでした。
うん。
これが夢だったらどんなに良かっただろう。
こんな夢だったらね。
バッチこーい!
ファンタジーばんざーい!
と、諸手を挙げて喜んだことだろう。
水嶋透理は心の底から、そう思った。
だって。
夢でないなら、これはなんだ?
なんで私が。
戦争は勿論のこと、殺人さえも他人事と思っていた、基本のほほんな平和主義を掲げている日本人なのに。
そんな血生臭い現実なんて、これっぽっちも考えたことがないのに。
目が覚めたら、目の前で見たこともないグロテスクな生き物が斬り殺されて、頭からその血を被るとか。
いったいどんな悪夢なのよ。
とりあえず、目の前で生き物が血を噴いて倒れるという光景が夢でなくてなんだというんだ。
これが夢じゃないなら、物理的かつ論理的かつ、人道的な説明を求めたい。