かっこ仮。の世界。
お願いですから、私の現実を返して下さい。
『あー。ごめんねぇ?だってまさか人間が召喚されるなんて思いもしなかったんだよねー』
頭から血を被った透理は、その場に居た男に保護された。
こちらはどうやら人間らしい。
というか、透理が現実離れした状況に陥ったのは、この男が原因だった。
『まあ、衣食住の心配はしなくていいよ?僕の責任でちゃんと君の面倒は見るからさ』
にこやかに、まるで自分は何も悪くないとでいう風情の男に、透理の理性がブチ切れたのは仕方のないことかもしれない。
「ふざけんなーーっ!ってゆーか、なんなの⁉ここはどこなのよ⁉っゆーか、私を現代日本の文明社会に戻せぇぇーーーっ‼」
透理の思考回路は崩壊寸前だった。
たとえ相手がこれまで見た中で1番の美形であったとしても、それが今、この状況下でいったい何の役に立つって話だ。