かっこ仮。の世界。
「いだだだだっ⁉」
清明に頭を力一杯鷲掴みにされた。
「あ、良かった。ちゃんと意識あった」
笑顔の清明からは、何ひとつとして悪気は見当たらない。
が。
「良かった、じゃないっ!こちとら繊細かつか弱い乙女なんだから少しは丁寧に扱いなさいよっ」
さっきからこの男ーーーっ‼
人を起こすのに問答無用に頭から水をぶっ掛けるわ、人外生物嗾けるわ(清明の所為ではないが、雇用主なので責任はあるはずだ)、頭鷲掴みにするわ…
「女の子の扱い方も知らないの⁉」
透理がぐわっと目を見開いて、右手の人差し指でビシィィィっと指してやれば、清明は首をこてん、と傾げた。
…う。
今の、ちょっと可愛いじゃないか。
うっかりときめいちゃったじゃん。
「君、透理って未婚だよね?」
「は?」
「だから、結婚してないよね?」
斜め上の質問が返ってきた。
うおーい。
「結婚してないよね?」
駄目押しとばかりに聞いてくる清明に、透理は白旗を掲げた。
「してないわよ…当たり前じゃないの…」
こちとらまた花の17歳だぅつの!