かっこ仮。の世界。
大人の事情は見て見ぬ振りをしましょう。
その夜。
昼間の訓練で疲れ切って、早々に眠りについた透理。
その一方で、清明は自室で盤を相手に星読みに精を出していた。
「ふむ…あまり良い星回りとは言えぬなぁ。暫くは経過観察するしかないなぁ」
今上帝からの依頼で、春宮の元服日を占っていたのだが、どうにも春宮の星回りがあまり良くない。
元服後の名はしっかり考えなければなるまい。
しげしげと盤を見つめていた清明だが、ふと慣れ親しんだ空気に顔を上げた。
「玉若か」
「気付いておったくせに白々しいな、清明よ」
ふらりと何もない空間から現れたのは、本性を露わにした玉若だった。
「何の用だ?透理のことなら異論は受け付けぬぞ?」
「そんなことはどうでも良い。清明。いつまで遊んでいるつもりかえ?」
皮肉な笑みを浮かべながら、玉若が近寄った。
「この京の有様はもう手の施しようがない。今の帝とやらの悪政ぶりには感心さえする程じゃ。いつまであの阿呆に付き合ってやるつもりじゃ?」