かっこ仮。の世界。
大人の事情は見て見ぬ振りをしましょう。

その夜。


昼間の訓練で疲れ切って、早々に眠りについた透理。


その一方で、清明は自室で盤を相手に星読みに精を出していた。


「ふむ…あまり良い星回りとは言えぬなぁ。暫くは経過観察するしかないなぁ」


今上帝からの依頼で、春宮の元服日を占っていたのだが、どうにも春宮の星回りがあまり良くない。


元服後の名はしっかり考えなければなるまい。


しげしげと盤を見つめていた清明だが、ふと慣れ親しんだ空気に顔を上げた。


「玉若か」

「気付いておったくせに白々しいな、清明よ」


ふらりと何もない空間から現れたのは、本性を露わにした玉若だった。


「何の用だ?透理のことなら異論は受け付けぬぞ?」

「そんなことはどうでも良い。清明。いつまで遊んでいるつもりかえ?」


皮肉な笑みを浮かべながら、玉若が近寄った。


「この京の有様はもう手の施しようがない。今の帝とやらの悪政ぶりには感心さえする程じゃ。いつまであの阿呆に付き合ってやるつもりじゃ?」



< 31 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop