かっこ仮。の世界。
「という訳だから。玉若。2対1でここは僕の勝ちだよね」
清明が勝ち誇ったように宣言すると、玉若は清明を睨んで、きぃっ!と鳴いた。
「おのれ、この怨み覚えておれ!」
そう言い捨てて、玉若が消えた。
玉ちゃんって、結構激しい人だったのね。…いや、なんとなく日常生活の中で気付いていなかったわけじゃないけど…。
とはいえ、玉若の怒りが自分に向いてこなかったことにホッとした透理。
「清明。これ以上厄介事に私を巻き込むのはやめてくれる?」
改めて、心の底から清明に抗議した。はずなのだが、清明にその心は伝わっていなかった。
「えー?厄介事に巻き込んでるなんて心外だなぁ。僕はキミに少しでもここでの生活に慣れてもらいたいだけなんだけど」
「そんな建前みたいな屁理屈は聞いてない」
「建前でも屁理屈でもなく、本音なんだけどな」
じっと睨む透理とにこにこ笑顔の清明。
2人はじっと無言のまま、互いの主張譲らない。
どちらが根負けするかの意地の張り合いになるのかと思いきや。
「清明!大変じゃ!」
捨て台詞を残して消えたはずの玉若が、血相を変えて、顕現した。