かっこ仮。の世界。
透理に引く気がないことを見て取ったのか、清明は目を閉じてこめかみを軽く押さえた。
玉若に言って、強制的にここから透理を連れ出させることはできるが、そんなことをすれば透理が臍を曲げるのは確実。
透理の才能を伸ばして、自分の補佐にしたいと思う清明としては、修行に支障がでるようなことは避けたい。
なんだって僕の周りの女性は、こうも跳ねっ返りばっかりなのかなぁ…
僕、女難の相はないはずなのに。
全て清明自身が選んで側に置いているのだから自業自得なのだか、清明にその意識はない。
「わかったよ。ただし御簾越しの上、几帳の影から絶対出ないこと!これだけは絶対譲れないからね」
それじゃ何も見えないじゃない!
透理が抗議すると、その問題は玉若があっさり解決してくれた。
「鏡を使えば良かろう?あそことあそこに鏡を置けば、透理の場所からでも顔が見える」
「……仕方ないから、それで手打ちにしてくれないかな、透理?」