かっこ仮。の世界。
「……ちと悪ふざけが過ぎたかの?」
笑顔とは裏腹に、透理と玉若の目の前にある男性らしい肩幅のある背中から、ひしひしと感じる殺気。
「……アレって、道長さんじゃなくて、私達宛ってこと?」
私、何もして…なくはないけど、でも笑えるから笑っただけじゃないか!そんなんで玉ちゃんすら青褪めるような殺気とか‼‼
清明って、なんとなく感じていたけど!何か凄く今更な気もするけどっ‼
……プライドが高いって、面倒。
几帳の裏で、人間どころか妖狐さえも怯えさせておきながら、清明と道長の会話は続く。
「おお!そうであった‼我が一の姫の入内が正式に決まったのじゃ。そこでその日時をそなたに占って欲しくてな」
道長が満面の笑顔で用件を伝えた瞬間、清明が苛っとしたように目を細めた。
「……そういった用件であれば、帝から陰陽寮へ勅命、というのが正式ではありませんか?私が占う必要はないはずです」
背後で見守る女2人は、更に身を硬くする。
透理は玉若の袖をきゅっと握った。
だって怖いんですってば。
ってゆーか、道長さんに表立って怒れないからって、こっちに殺気飛ばすのは止めてもらえませんか⁉
透理、涙目。
玉若も、涙目。