かっこ仮。の世界。
清明は何度か目を瞬いた後、それからくっと喉を鳴らし、堪らない、というように腰を折って笑い出した。
「あはっ…あはははっ」
「ちょっと⁈何で爆笑⁉」
せっかく良いこと言ったつもりなのに、なんでこんなに盛大に笑われなきゃいけないんだろ。
というか、人の親切を無下に扱うような奴は犬に噛まれてしまえばいい!
「あははっ…いや、だって!」
「清明。いつか元の時代に帰る時は100倍にして返してやるから、覚えときなさい」
ぐっと拳を震わせて透理は、清明を睨んだ。
「あー……いや、馬鹿に、したんじゃないよ?」
笑い過ぎて涙を浮かべる清明は、その涙を指で拭いながら、それでも収まらない笑いを堪えようとしていた。
「どこからどうみても馬鹿にしてるじゃないのよっ!」
透理はむぅ!っと眉を潜めて、さらに強く睨んだけれど、清明がその程度で怯むわけもなく。
「僕もまだまだだなぁ。あぁ、そんなに熱く見つめられると、さすがの僕も照れるんだけど」
「見つめてんじゃないわよ。睨んでるの」
もうイヤだ。
清明との会話はいつもこんな感じに、大事な所は隠されて気付けば向こうのペースにはまって、はぐらかされて終わる。