かっこ仮。の世界。
筋違いを起こした私の首筋に清明の手がさらりと触れる。
「なぁっ⁉」
「はいはい。おとなしくしてなさいな…………」
清明は何やらもごもごと言葉を唱えているようだったけど、私には聞き取れなかった。
しばらくして、清明の手が離れた。
「どう?少しは痛みも和らいだんじゃないかな?」
清明に言われて、自分で首を動かしてみれば。
あら不思議。
「痛く…ない?」
「禁厭が聞いたみたいだね」
「まじない?」
「そ。さて。それじゃあ引き続き勉強に戻ろうか」
「う…うん」
まじないって何?現代で言うところのおまじない?
痛いの痛いの飛んでいけー!みたいなもん?
よくわからないまま、盤を覗き始めた清明を見つめると、清明が苦笑した。
「そのうち透理にも教えるから。今は星読みに集中しようか?」
そう言いながら手を伸ばして、透理の右頬をぶにーっと引っ張った清明。
初心者なんだから、もう少しくらい優しくしてもいいんじゃないだろうか。
「ひゃめれーーーっ!」
清明邸に透理の悲鳴が響き渡った。
清明邸は、なんのかんの平和な日常が今日も続く。