【完】狼王~全国一の暴走族とわたし~
「龍平…やっぱり…知ってたのね?」


手をギュッと握って聞いた。


「…あぁ。俺、二年前の美亜乃が死んでから…一週間たったとき…美亜乃が車に引かれた場所に行ったんだ。

そこは…人通りも少ないとこだった。

俺がそこに突っ立ってたら、1人の婆さんが来たんだよ。

そのばあさんな、美亜乃が自ら道路に向かって歩いて行くの見たんだってさ。

ばあさんも必死になって止めようとしたらしいんだ。

その時美亜乃がばあさんの方向いて…お兄ちゃん、ごめんなさい…って…

泣いてた…って…。

俺は…兄貴としてあいつに何もっ…気づいてやれなかったんだ‼

助けてやれなかった…大事な妹を…守れなかったんだ...!」


そして龍平はソファーに座ったまま両手で自分の顔を覆った。
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