その恋の行方は…【完】
俺は、自分の血を見てもなんとも思わなかったのに、そのひと雫には、

涙以上に胸が締め付けられた。


「いや、こんなのたいしたことはない」

「本当に…本当にごめんなさい」

ほのかが手を引いて俺の手を離そうとする。

おそらくもう暴れないと思ったが、万が一を思い俺はその手を強く握り直した。

「いいんだ。花火の後で『もう2人では会わない方が…』と言っていたのに

俺の所にきてくれた。俺をもっと頼ってくれ」

「そんな…

私、いつも迷惑と心配ばかりかけて…」

「そんなことはない。俺はお前といると人を信じてみようと思えるんだ。

それはお前に対してしか抱かない感情なんだ」

「今日だって…

この前あんなこと言ったのに、何も言わずに突然来て…

暴れて…

けがまで。本当にごめんなさい」

「学生時代からの友達だろう?足もたいしたことはない」

友達…

それは俺の感情とは程遠い言葉だった。

でも、これ以上ほのかをおびえさせたくない俺にとって最も都合のいい単語だった。

それから俺は静かに涙を零すほのかの目を見た。はらはらと流れる涙は綺麗だった。

そして、落ち着いてきたように見えたほのかの手を、惜しむ気持ちを押し込めて…

離した。
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