ロング・ディスタンス
 帰りの車の中、心地よい振動と疲れから栞は眠気に誘われた。運転してくれる長濱に対する申し訳なさも感じたが、彼女は睡魔に負けた。眠りに落ちる、意識が遠のいていく間、彼女は頭の中で考えていた。胸を焦がすような情熱やときめきは湧いてこないけれど、こういう人と一緒に穏やかに過ごすのも悪くないかもしれないと。

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