ロング・ディスタンス
一歩
 栞は長濱との進展状況をちょくちょく友人に話していた。二人は夜に携帯で話し合っている。
「へえ。長濱さんとは結構いい感じなんだぁ」
「いい感じってほどじゃないけど。まあ、彼は生理的に受け付けないタイプではないかな」
「なんだ、その程度か。それって積極性の低いコメントなんですけど」
「そうかな? 自分が好きじゃない男の人って、そばに寄ったり二人きりで会ったりはできないでしょ。近くで話していても違和感や緊張感を抱かない男の人って、結構貴重だと思うんだけど」
「まあねえ。あんたが彼にちょっとでも好感を持ってるならそれでいいんだけど、ただ不倫してた相手から気をそらすために付き合うのは良くないと思うんだ」
 そんな気持ちで付き合っていたら、いずれあの好青年を傷つけてしまうことになるだろう。
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