ロング・ディスタンス
 翌日、栞はオフィスのゴミをゴミ捨て場に捨てにいった。事務部では当番制でゴミ捨てや掃除をしている。
 可燃物のコーナーにゴミ袋を放り込み、オフィスに戻ろうとした時、彼女は背後から聞き慣れた声を聞いた。
「栞」
 そこには、白衣のポケットに両手を突っ込んで神坂が立っていた。ゴミ捨て場は病棟の外にあり、喫煙コーナーから近い。おそらく彼は喫煙を終えた後、栞を見掛けて近づいてきたのだろう。
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