ロング・ディスタンス
 それから数日後、栞は外出届を出し、職場を訪れた。

 向かったのは外科のある病棟である。
 彼女はナースステーションから離れた所に待機し、バッグから携帯を取り出した。まだアドレス帳から彼の番号を消してなくて良かった。「長濱太一」の携帯番号を検索すると、彼女は彼にメールを送った。

 彼から返信が来た。彼は勤務中だった。アポ無しで来たけれど、彼が非番でなくて良かった。
 彼は栞に30分ほど待つように言ってきたので、彼女は同じ階の待合室で待っていた。
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