ロング・ディスタンス
「そっか。先生があんたを受け入れてくれるといいよね。そんな遠い島まで行くほど好きになれる人ができたんだからさ」
「ありがとう。あのね、成美。私、あんたたち夫婦を見て思うんだ。いつか私も光太郎さんみたいな人を見つけて幸せになりたいな」
「なれるよ。栞は絶対優しくて素敵な旦那様と結婚して幸せになれるよ」
「そうかな。こんな私でも結婚してくれる人が現れるのかな」
「栞と結婚したがる男の人なんてごまんといるって! なんせ、あんたは器量良しで私の自慢の親友だもん」
「そう言ってくれてありがと。でも、長濱先生とのことは自信ないな。彼には私の醜いところを見られすぎちゃったからね。おまけにあんなに遠い所に行っちゃったし、このままフェイドアウトするのかなって気もする」
「当たって砕けるつもりなんじゃないの?」
「そうだね。見事に玉砕した時はまた一緒にやけ酒に付き合ってよね。卒業式の日みたいにさ」
 栞は高校の卒業式の夜のことにふれる。あの日、成美は片思いの教師にふられた彼女のためにチューハイをふるまってくれた。
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