ロング・ディスタンス
携帯を切ってから、栞はベッドに横になった。
天井を見ながら、先日島へ行った時のことを思い出していた。
浜辺での長濱の姿や表情を思い浮かべ、彼の発した言葉を反芻する。
会えない時間に、彼女の彼に対する思いが大きくなっていく。
手を伸ばせばすぐそこに彼がいた時期はもう過ぎ去ったというのに、今になってこんな気持ちになるなんてとても皮肉なことだ。
時間を自由に巻き戻せる魔法が使えたらいいのにと思った。
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