ロング・ディスタンス
 栞はわけもわからず、フラフラとした足取りで見晴らしのいい地点にたどり着いた。

 はるか彼方に、灯台が周囲に光を投げかけるのが見える。
 この時間だと黒い海の上には何も見えない。
 涼しい海風が吹き上げてくる。
 空を見上げると満天の星が輝いている。
 星はこんなにも美しいというのに、悲しくて涙がこぼれてしまう。
 栞は地面に座り込んで、右手の甲を目に当てた。
 情けないような辛いような苦しいような気持ちがこみ上げてくる。
 待ちに待った月に一度の再会で、こんな目にあうなんて思いもしなかった。
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