ロング・ディスタンス
栞の携帯が着信音を鳴らした。
彼女は「ちょっと出ますね」と言って携帯に応答する。母親からの電話だった。
母親からの用件を聞いた後、彼女は電話を切った。
「お母さんからの電話でした」
「そう」
「今晩実家に食べに来ないかって言ってました。今、遠くから遊びにきた友達に会ってると言ったら、『良ければお友達もご一緒にどうぞ』ということです」
「お母さんが俺のこと夕飯に誘ってくれてるの?」
「はい」
「お盆だけど俺がお邪魔してもいいのかな?」
「お母さんがいいと言ってるからいいと思います。別に親戚の人たちが来るわけじゃないし。太一さん自身が良ければ、ですけど。太一さんだって、久しぶりに本土に帰ってきたから他にしたいことがあるかもしれないし」
その言葉には色々な意味が含まれている。男友達の彼が栞の家に行くことの意味合いを理解した上で、その誘いに応じられるかどうかという問題なのだ。正直、栞自身もこんな展開になるとは思わなかった。
「俺の方は別に予定はないよ。うちのお盆は昨日やったし。お言葉に甘えていいかな」
「はい。じゃあ、うちのお母さんに電話して友達も来るって言っときますね」
「うん。そうなるなら、もうちょっといい格好で来れば良かったかな」
太一はボタンダウンシャツにチノパン、モカシンという出で立ちだ。
「それで大丈夫ですよ。別に気を遣うような家じゃないし」
何となく空気の流れが変わった。
彼女は「ちょっと出ますね」と言って携帯に応答する。母親からの電話だった。
母親からの用件を聞いた後、彼女は電話を切った。
「お母さんからの電話でした」
「そう」
「今晩実家に食べに来ないかって言ってました。今、遠くから遊びにきた友達に会ってると言ったら、『良ければお友達もご一緒にどうぞ』ということです」
「お母さんが俺のこと夕飯に誘ってくれてるの?」
「はい」
「お盆だけど俺がお邪魔してもいいのかな?」
「お母さんがいいと言ってるからいいと思います。別に親戚の人たちが来るわけじゃないし。太一さん自身が良ければ、ですけど。太一さんだって、久しぶりに本土に帰ってきたから他にしたいことがあるかもしれないし」
その言葉には色々な意味が含まれている。男友達の彼が栞の家に行くことの意味合いを理解した上で、その誘いに応じられるかどうかという問題なのだ。正直、栞自身もこんな展開になるとは思わなかった。
「俺の方は別に予定はないよ。うちのお盆は昨日やったし。お言葉に甘えていいかな」
「はい。じゃあ、うちのお母さんに電話して友達も来るって言っときますね」
「うん。そうなるなら、もうちょっといい格好で来れば良かったかな」
太一はボタンダウンシャツにチノパン、モカシンという出で立ちだ。
「それで大丈夫ですよ。別に気を遣うような家じゃないし」
何となく空気の流れが変わった。