ロング・ディスタンス
「そうねえ。それって、うちの病院の看護師さんとか理学療法士の人たちが来る集まりでしょ?」
泉がカレシと知り合った集まりなのだろう。何でまた自分のことをそこへ誘うのだろうか。
「ええ、そうです」
「そうねえ……」
栞の中では、神坂のお誘いはキャンセルする方向へ傾いていた。だからといって、仕事で疲れ果てた金曜日に知らない人たちの集まりの中へ入って、気を遣うのも気が進まない。
「実はね、あたしの彼に頼まれてるんです。児島さんに会わせたい人がいるから連れてきてほしいって」
「私に会わせたい人?」
なんとなく話が見えてきた。
「ええ。児島さんのことを見掛けていいなって思ってる人がいるみたいなんです。彼がその人と仲が良くて、どうもその人と児島さんを会わせたいみたいで……あの、児島さんって今、フリーですか?」
「え? 私? えっと特に付き合ってる人はいないけど」
大嘘ばっかりついている。
「じゃあ、考えてくれますよね! 今度の食事会」
「あ、えーと……」
こんな時以前の栞だったら、神坂のことを考えて即座に断っていた。けれど今は、他の男性との交際だって視野に入れようと思っている。後輩が持ち掛けた紹介の話にのってみてもいいのではないだろうか。神坂の他に好きになれる人ができたらそれに越したことはない。
泉がカレシと知り合った集まりなのだろう。何でまた自分のことをそこへ誘うのだろうか。
「ええ、そうです」
「そうねえ……」
栞の中では、神坂のお誘いはキャンセルする方向へ傾いていた。だからといって、仕事で疲れ果てた金曜日に知らない人たちの集まりの中へ入って、気を遣うのも気が進まない。
「実はね、あたしの彼に頼まれてるんです。児島さんに会わせたい人がいるから連れてきてほしいって」
「私に会わせたい人?」
なんとなく話が見えてきた。
「ええ。児島さんのことを見掛けていいなって思ってる人がいるみたいなんです。彼がその人と仲が良くて、どうもその人と児島さんを会わせたいみたいで……あの、児島さんって今、フリーですか?」
「え? 私? えっと特に付き合ってる人はいないけど」
大嘘ばっかりついている。
「じゃあ、考えてくれますよね! 今度の食事会」
「あ、えーと……」
こんな時以前の栞だったら、神坂のことを考えて即座に断っていた。けれど今は、他の男性との交際だって視野に入れようと思っている。後輩が持ち掛けた紹介の話にのってみてもいいのではないだろうか。神坂の他に好きになれる人ができたらそれに越したことはない。