ロング・ディスタンス
栞がその神坂とかいう男のことを過大評価しているとしても、成美には彼がどんな人物かだいたい想像できる。確かに社会的には成功している人物かもしれないが、利己的な男のような気がする。彼が医者で名家の令嬢である妻と二人の間にできた子供を捨ててまで、一介の事務員と駆け落ちなんてするわけがない。そんな男と関わり続けたところで、栞は幸せになんかなれないだろう。
「まあ、さ。神坂先生のことは急には忘れられないでしょ。それはそのままにしておいていいからさ、並行して他の人にも目を向けたら? ねえ、今度、うちら夫婦と一緒にバーベキューに行こうよ。その先生も呼んでさ。男手がもう一人必要だよ。去年、学校の遠足で行ったことがあるレジャー施設にいいバーベキュー広場があるんだよ。旦那がセット一式持ってるんだ。彼が四駆も出してくれるし」
「バーベキューねえ」
バーベキューは別にいいのだが、正直長濱と一緒に行きたいとは思わない。
「ねえ、いいじゃん。行こうよ。私、就職してから栞と飲み以外でお出かけしたことないから、どっか行きたいよ」
「お出かけっていってもねえ」
成美と女同士で出掛けるのはいいのだが、好きでもないし興味もない人を誘って出かけるのは気が進まないのだ。
「ね、行こう!」
成美はしきりに誘ってくる。
「でも……」
「ね、一度ぐらいダブルデートしたっていいじゃん。それで気が合わなければ、もう長濱さんと会わなきゃいいんだし」
「まあ、さ。神坂先生のことは急には忘れられないでしょ。それはそのままにしておいていいからさ、並行して他の人にも目を向けたら? ねえ、今度、うちら夫婦と一緒にバーベキューに行こうよ。その先生も呼んでさ。男手がもう一人必要だよ。去年、学校の遠足で行ったことがあるレジャー施設にいいバーベキュー広場があるんだよ。旦那がセット一式持ってるんだ。彼が四駆も出してくれるし」
「バーベキューねえ」
バーベキューは別にいいのだが、正直長濱と一緒に行きたいとは思わない。
「ねえ、いいじゃん。行こうよ。私、就職してから栞と飲み以外でお出かけしたことないから、どっか行きたいよ」
「お出かけっていってもねえ」
成美と女同士で出掛けるのはいいのだが、好きでもないし興味もない人を誘って出かけるのは気が進まないのだ。
「ね、行こう!」
成美はしきりに誘ってくる。
「でも……」
「ね、一度ぐらいダブルデートしたっていいじゃん。それで気が合わなければ、もう長濱さんと会わなきゃいいんだし」