ロング・ディスタンス
 四人は買い物を済ませ、キャンプ場に到着した。ここは成美と光太郎が小学校の遠足で度々利用したことのある、湖畔のレジャー施設だ。緑に囲まれた気持ちのいい山あいの施設である。

 男性陣が焼き場の用意をしている間、女性陣は炊事場で材料を切っていた。
「長濱さんっていい人そうじゃん。イケメンだし」
 自分の横でキャベツを刻んでいる栞に成美は声を掛けた。
「イケメンかどうかはわからないけど、いい人だと思うよ」
 栞が言った。案の定、友人は長濱の容貌には魅力を感じていないようだ。
「いい人なら付き合っちゃいなよ。お医者さんなんだしさ」
「そうね。私も、ああいう人を好きになれたどんなにか良いだろうと思う」
「……」
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