ロング・ディスタンス
 長濱は栞の返事を喜んでくれた。二人は市内にあるコーヒーショップで会うようになった。彼らが勤める病院から離れた町外れの外資系コーヒーショップだ。長濱が休みの平日に、栞は職場から仕事を終えたその足で店に向かった。

 長濱はカジュアルな普段着姿ですごくうれしそうな顔をして栞を迎えてくれる。彼は自分の方が年上だからと言って、いつも彼女のコーヒー代を出してくれる。研修医なんてパートタイマーだからそんなに給料をもらってないはずなのに。栞はいつもトールサイズのカフェラテを注文する。長濱はモカフラペチーノにたっぷりのホイップクリームをトッピングする。「甘いものが好きなんだ」と言う。意外だった。
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