think about you あの日の香りとすれ違うだけで溢れ出してしまう記憶がある

隣の先輩(丹羽誠さん)

青い空に白い雲。ジリジリ照りつける太陽。いつもの昼下がり。

相変わらず、私の話につきあってくれる、ぐっちゃん。

アイスにかじりつきながら、しゃがみこんで相槌をうつ。

「ぐっちゃんの隣の席にいる先輩ってさ、なんかキラキラしてない?」

「…あぁ。金髪だからな。」

「ちーがーくーてっ!…カッコいいでしょ?」

「…え?」

「…ケータイの番号聞いてきてよ。」

「…イヤだね。」

「何その言い方?感じ悪ーい!いーじゃん、となりなんだからさぁー!同じグループでしょう?」

「…ふん。自分で聞いてくれば?」

私は、自分の欲求不満を恐れて、気を紛らわす為に、

ぐっちゃんの先輩に目をつけた。

ザいいこと見つけ。

ぐっちゃんに、ぐらっときてしまうなんて、

きっと欲求不満なんだろう。

ぐっちゃんに手を出さないためには、

近しい人と付き合うことが、手っ取り早い戦法だ。

付き合えるかは別として…。

まぁこっちは気を紛らわせたら、それでいいのだから、

熱くなる必要も、不安に思うこともない。



ぐっちゃんの隣の席の先輩は、4つ年上の丹羽誠さん。AB型。

金髪、色白で背が高く、ハーフみたいな容姿。

愛車はマーク2グラシア。ブラックのワゴンタイプ。

見た目的には、ぐっちゃんよりもずっと万人受けしそうなタイプだ。

いっつも機械油でドロドロに汚れていた。

危険な作業をしているのかと、ぐっちゃんに尋ねると、

「あの人は、そんなに危ない仕事はしてねェよ!」

と、キレ気味で返された。









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