ヘビロテ躁鬱女
「ううん。なにも聞いていないけど……」


衣舞の語尾が心配そうに弱々しくなった。


「私、鉄平に振られちゃったみたい。彼氏を作ってみたかったなぁ……」


――あれ、おかしいなぁ? 視界が段々とぼやけてくる。今頃、大事な存在に気づくなんて……私、鉄平が好きだったんだ……。


「振られるなんて……まだ気持ちも伝えていないじゃん。和歌子だって鉄平のことを好きかどうかも分からないし――」


「この話は、なし! いいの! もういいの……聞かなかったことにして。もっと衣舞には他の話もしたいし」


おしぼりで涙を軽く拭き取った。


大量に雫が零れるほどのことではない。今なら簡単に引き返せるし、忘れられる……。


「いやぁーびっくりだよな。あいつら付き合っているのかな? ありゃ、デートだよな」
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