ヘビロテ躁鬱女
 ――寝顔も可愛いね。ゆっくり休んで。


そっと髪を撫で、余ったビールに口を付ける。


――大丈夫。これからよ。これからは、ずっと一緒なんだから……


「……ううーん――狂子」


「鉄平!? 今、狂子って? 狂子って言ったの?」


――寝言とはいえ、まさか狂子の代わりに私を抱いた? まさかよね?


ビールを一気に飲み干し、空になった空き缶をぐしゃりと片手で潰した。頬には自然と、一筋の涙が零れていた。
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