ヘビロテ躁鬱女
 和歌子には悪いけど、私……やっぱり鉄平を忘れられない――。


今も横にいる輝を気にしながら、鉄平の愛くるしい表情を目で追っている。


鉄平の横には和歌子がぴったりとひっついていた。


ごめん……和歌子。私、鉄平と衣舞を取り戻したいの――。


そう決断すると、目の前のビール瓶を掴み、店長に近寄った。


「ご結婚おめでとうございます」


「おう。狂子ありがとう。なんだ、お前が珍しいな? 隅っこのほうなんて」


「そんな日もありますよ!」


明るく言うと、愛子は目を鋭くさせた。
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