ヘビロテ躁鬱女
「愛子さんもビールをどうぞ。店長、愛子さんは体調があまり良くないみたいですよ」


にっこりと微笑みを返し、店長に愛子を気を使うように遠まわしに助言した。


貴方には敵意はありませんという、精一杯の行為だった。


そして隣の新庄さんを飛ばし、次にビールを向けたのは鉄平だった。


「ビールをどうぞ」


「……あ、ありがとう狂子さん」


ビール瓶が震えないように気を使う。隣で和歌子が目尻を上げ、私を睨みつけているからだ。


――大丈夫。衣舞がいれば、きっと上手くいく……。
< 354 / 417 >

この作品をシェア

pagetop