ヘビロテ躁鬱女
 言ってみて少しだけ後悔したけれど、もっと奥底にある深い気持ちを知りたかった。


微妙な沈黙が流れ、まるで二人は呼吸で会話をしているようだった。


「……別れるよ。俺、忘れることなんて出来ない」


「……鉄平」


鉄平の背中に手を回した。


潤んだ瞳で見詰め合うと、唇がそっと近づいてきた。


「好きなんだ狂子さん……ワインで染めた赤い唇も好きだ――」


その一線を越えたら、もう止められないよ? 鉄平。
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