ヘビロテ躁鬱女
◆◆◆


「重いよ、輝……もうちょっと足に力を入れて」


「んんっ……衣舞もいるのかぁ……?」


私たちは輝の体を両端で挟み、引き摺って歩いている。


自宅は、長い石段を上らないと辿り着かないので、男の体を支え向かうには、一人の力じゃ到底無理だった。


「私。これからも輝って、呼んで良いですよね!? もう少しで家が見えてきますからね!」


「おう!? どんどん呼びなさいー! 今日のお酒は美味しいぜぇ! あはははは!」


なんとなく会話に溶け込めなかった。


親友の力になれるのは嬉しいけど、罪悪感も持ち合わせていた。
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