【完】春紫苑
平塚さんは、深く瞬きをしたあと、真っ直ぐに将光を見つめた。
「最善は尽くしたのですが……。
傷が深く、出血量も多く…………」
そう言うと申し訳なさそうに首を横に振った。
私は一瞬何を言ってるのか分からなかった。
いや、違う。
分かりたくなかったんだ。
でも、将光は
「そうですか……。本当に、ありがとうございました」
そう言って深く頭を下げた。
「頭を上げてください、お願いですから」
いつまでも頭を下げたままの将光に平塚さんが声をかける。
でも、私には分かってた。
将光が頭を上げない理由が。
……いや、上げられない理由が。