【完】春紫苑
「父さんを、疑ってるんですか!?」
静かな病院に将光の悲鳴にも聞こえる叫び声が響く。
私の腕から将光がいなくなる。
隆弘さんが由季さんを……。
そんなこと、あるわけない。
だって、隆弘さんと由季さんは本当に仲が良くて。
私も将来、将光とこんな夫婦になれたら良いなって憧れで。
「署でお話しを聞くだけですから」
「話しだけだったら、ここで良いじゃねーか!」
「そういうわけにも、いかないもので」
「何だよ、それ!」
両者一歩も引かない。
さっきまでの悲しい雰囲気はどこへ行ったのだろう?
ピリピリとした空気が私たちを包んでいた。
今にも警察官に殴りかかりそうな勢いの将光を制したのは
「俺は大丈夫だ、すぐ帰ってくるから安心しろ」
隆弘さんだった。