【完】春紫苑
将光の方に視線を向けた担任は一瞬あからさまに顔をしかめた。
一瞬、ほんの一瞬。
おそらく、眼鏡くんに気付いたからだろう。
担任は二十代後半の数学教師。
名前は平田……何だっけ。
とにかく私はこの担任に全くと言って良いほど興味がない。
若いが、どれほど苦労してきたんだコイツ。ってぐらい老け顔。
なので女子人気はゼロ。
また気が弱く、男子に完全にナメられている。
男子だけじゃない、クラス全員に。
今もまたどうして良いか困っている。
困り果てる平田にイライラした私は
「先生ー。何か話があるんですよね?」
声をかけた。