【完】春紫苑




「あぁ、分かった」




その瞬間、平田は明らかに救われたという顔をし、私に笑顔を向けた。


だけど私はそんな平田からすぐに目をそらした。



クラスメートは一斉に“さすが橋月さん”といった視線を送ってきた。



私には、それが不快で仕方がない。



平田もクラスメートも、本人には直接言えないだけで、将光たちをかなり嫌ってるはず。




それなのに……


誰も何も言わない。


何も言えない。




私が言うのを待ってる。

それが私にとってどれだけ不快なのか、この人たちは何も分かってない。



でも、まあ…私はそれを利用してる。


正直、私はクラスメートに好かれている。


というか好かれるように私が努力してきた。


そしたら皆、将光を橋月さんの彼女だし…って多目に見てくれるから。



私は少しでも将光がクラスから浮かないように努力してきた。






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