暗闇の鎌【読みきり短編集】
「なに、またメール? いい加減にしてよね! 毎回誰からなのよ」


口角のあがった唇が一気に下った。


こんな時でも容赦なく何度もメールは入る。人の気持ちはお構いなしだ。


「なんでもないよ、くだらないことは気にすんな。迷惑メールが多くて困っているだけだよ」


「それならアドレス拒否設定をしてあげるわよ。敦志は面倒臭がりだもんね……はい、携帯貸して!」


彼の目の前に手の平を大きく差し出したが、ぎゅっと手首を掴まれ、大きな背中をこちらに向けた。


「あっちにインテリアのお店があるんだ。プレゼントを買いに行こう! 怒った顔は見たくない。誕生日は笑顔でいようぜ!」
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