止まない雨は無い。ーハッピーエンドのその先ー
「泣きたいのは、こっちだよ…。
浮気された時より…ね。」
まだ、泣いているアイツ。
どうしようか…迷う。
慰める?罵倒する?
「取り敢えず、私は死ぬまで
里穂もアンタも許せないと思う。
でも、いつまでも…
言ってるつもりはないよ?
私は、また別の道を歩んで行くから。
アンタ達も、私の事はどうでも良いって思って生きなよ。
子供も可哀想。」
私は、目が覚めてから一番落ち着いて話が出来ている。
「加奈…。
本当に…すまない。」
ひたすら謝るしかないんだろうな。
アイツは、話を始めた。
「でも、俺は本当に加奈を愛していた。
結婚出来るって嬉しかった…。
けど、いつ目が覚めるか分からない加奈を待つのが…辛かった。
結婚式もキャンセル。
そんな時に、里穂が俺を支えてくれていた。
次第に、惹かれていったんだ。
そんな時に、俺の中に…
里穂が、告白してきた…
その時、頭が真っ白になって
気がついたら…里穂を抱いていた。
いつ目が覚めるか分からない加奈より
今、側に居てくれる里穂を選んでしまった。
」
ありそうな展開だよな。寂しさから、抱いたのか。
里穂も、里穂だよ。
告白するんだね…一応姉の婚約者なのにさ。
「最初は、寂しさからだったけど…
今は、里穂を愛してるって断言出来る!」
「ふーん?
それで、その一度の過ちで赤ちゃんできちゃった訳だ。
愛してる…か。」
腑が煮え繰り返るぐらいの怒りが、湧いてきた。
呼吸も、浅くなり初めた…
目を閉じ…深呼吸。
落ち着け、落ち着け。
「だから…いつ目が覚めるか
冷や冷やしていたんだろうね。
目が覚めた時の里穂の顔は、忘れられないわ。
どうして目が覚めちゃったの?って。」
多分、これ以上は無理だわ。
「そんな事無い!
家族みんなで、喜んださ!!
そして、俺達の事をどう話すか…
悩んだ。
里穂からは、加奈が俺に会いたがっているって…。
沢山、悩んで…泣いた。」
……里穂の事が、やっぱり大事なんだ。
さっきから、里穂の事庇ってる。
分かってたし…うん。
「わかった…
分かったから…
今日は、帰って?」
アイツに、帰って貰わないと…
限界だわ。