止まない雨は無い。ーハッピーエンドのその先ー

「泣きたいのは、こっちだよ…。


浮気された時より…ね。」




まだ、泣いているアイツ。


どうしようか…迷う。


慰める?罵倒する?


「取り敢えず、私は死ぬまで


里穂もアンタも許せないと思う。


でも、いつまでも…

言ってるつもりはないよ?


私は、また別の道を歩んで行くから。



アンタ達も、私の事はどうでも良いって思って生きなよ。


子供も可哀想。」



私は、目が覚めてから一番落ち着いて話が出来ている。




「加奈…。


本当に…すまない。」



ひたすら謝るしかないんだろうな。


アイツは、話を始めた。


「でも、俺は本当に加奈を愛していた。


結婚出来るって嬉しかった…。


けど、いつ目が覚めるか分からない加奈を待つのが…辛かった。


結婚式もキャンセル。

そんな時に、里穂が俺を支えてくれていた。

次第に、惹かれていったんだ。


そんな時に、俺の中に…

里穂が、告白してきた…

その時、頭が真っ白になって

気がついたら…里穂を抱いていた。


いつ目が覚めるか分からない加奈より


今、側に居てくれる里穂を選んでしまった。



ありそうな展開だよな。寂しさから、抱いたのか。


里穂も、里穂だよ。


告白するんだね…一応姉の婚約者なのにさ。


「最初は、寂しさからだったけど…


今は、里穂を愛してるって断言出来る!」



「ふーん?


それで、その一度の過ちで赤ちゃんできちゃった訳だ。


愛してる…か。」




腑が煮え繰り返るぐらいの怒りが、湧いてきた。



呼吸も、浅くなり初めた…




目を閉じ…深呼吸。



落ち着け、落ち着け。






「だから…いつ目が覚めるか

冷や冷やしていたんだろうね。

目が覚めた時の里穂の顔は、忘れられないわ。

どうして目が覚めちゃったの?って。」



多分、これ以上は無理だわ。




「そんな事無い!

家族みんなで、喜んださ!!

そして、俺達の事をどう話すか…

悩んだ。

里穂からは、加奈が俺に会いたがっているって…。


沢山、悩んで…泣いた。」




……里穂の事が、やっぱり大事なんだ。


さっきから、里穂の事庇ってる。


分かってたし…うん。


「わかった…

分かったから…


今日は、帰って?」



アイツに、帰って貰わないと…


限界だわ。















< 70 / 92 >

この作品をシェア

pagetop