未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2

25.キー



ホテルのロビーを出て、十メートル先にあるコンビニに入った。

今から、黒磯の家まで帰るのが虚しくなる。

家について数時間後には出勤しなきゃ。

また、こっちに向かって車を運転しなきゃならない。

なんだか飲みたい気分だなぁとさきイカを手にとり、ビールを掴みかけたが思い直して手を戻す。

結局、さきイカとコーラを買って俺は店を出た。



駐車場に停めたままの車に戻り、ため息をひとつ吐いて、ジーンズのポケットに手を突っ込む。

あれ?

キーが――。

うそ、マジ?

――。

左右のポケットの中に何度も手を入れて確認するが家の鍵はあるものの、車の鍵が出てこない。


「マジかよ――」


車の前で、コンビニの袋を手にしたまま、俺はしゃがみこんだ。

落としたのか?

どこで?

財布を出した時?

いや、俺は財布と鍵は同じポケットに入れないはず。

まさか、綾の部屋の中?

とにかく歩いてきたルートを逆戻りする。
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