紅いイヤホン【完】



その日は、当時はまっていた1人映画のため最寄りの映画館に来ていた。




見たのは切ないラブストーリー。



最後に主人公の女の子が死んでしまったけど、あったかい気持ちになれる



すごく綺麗なお話だった。





上演後、涙で完全に崩れたメイクをお手洗いで治してから映画のグッズ売り場へ。




「あの作品は当たりだったなぁ…。」









そうだ、最初にあたしが見たかおるさんは


首を傾げながら売り場を歩き回っていた。






な、なにあの人…



可愛いですけど。




顔は見えていなかった。


でも行動が可愛すぎて目が離せなくて。




少し移動して顔が見える位置に行くと…






「……っ!」





かっこいい…




それは、生まれて初めての一目惚れだった。




あんなかっこいい人いるんだ…。




緩く結んだ髪にハットを被ってて、目が大きくて




あとあと…、いや、とにかくかっこいい…!




どくんどくんと胸が高鳴る。



…声、聞いてみたい。



よし、いけ紫衣!






「あの…どうかしましたか?」




さっきから、ちょっと行動変だし。






なんのためらいも無しに話しかけたあたしに対して…




「…!? あ、え…。」




彼は人見知りだった一発でわかる。




やっぱ可愛い…




彼の声を聞いて今まで経験したことがないくらいに、ドキドキしてる。








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