紅いイヤホン【完】
「なんか探してるんですか?」
「…ぁ、"もう一度"の…グッズが無いんや…」
…?!
関西弁…!
胸きゅんしながら、彼の言葉を噛み砕く。
…ってそれ、あたしがさっき見た作品じゃん。
グッズ、無いの!?
「ちょっと待ってて下さい。店員さんに聞いて見ますから!」
「…お、おん。」
返事も聞かずに、レジ付近の店員さんに話しかける。
「…あのー、売り切れみたいです、グッズ全部。主人公の俳優さんが人気らしくて…笑」
「…そーなんや…あ、ありがとう。聞いてくれて。」
「いいえ!あたしもグッズ欲しかったから…残念ですね。」
…ってあたしバカ!
これじゃもう会話切れちゃってじゃあさようならの流れだよー…。
そう思って、必死で考えてた矢先。
「せやな…。……なぁ、どっか入らん?映画見たなら、ちょっと話さへん…?」
かなり頑張ってくれたのが伝わる。
見るからに人見知りなのに、つっかえつっかえ誘ってくれた。
「…も、もちろん!行きましょ!」
嬉しかったなぁ。
そのあと、映画館の近くのカフェに入って
自己紹介した後に、映画の話…
してたのに、いつのまにかお互いの話になって。
そろそろ解散ってときに、告白してくれたんだ…。
好きやねんって、甘い関西弁で。
懐かしい、綺麗過ぎる思い出。