くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
野島が突然に空いた手でグッと胸を押さえるような仕草をしたから、焦ったあたしは野島の顔を覗き込んだ。


「野島、大丈夫!? やっぱどっか悪いの?」


よくよく見てみれば、野島の額には汗が浮かんでいて、顔も血色が悪いし息も荒かった。


やだ、冗談抜きでマジやばじゃん!


「今、誰か呼んでくる!」


何をどうしていいのかわからないけど、とにかく自分ではどうしようもないから、先生か校医さんを呼ぼうと立ち上がったんだけど。


掴んだ手を野島は離してくれないから、あたしはその場から離れられない。


「ちょっと、野島! あんたの具合が悪いなら誰か呼ばなきゃダメでしょ。今」
「呼ばなくていい!」


野島の怒声があたしの言葉を遮った。


「……大丈夫だ……少し休めばおさまる。
それよりも……そばにいてくれないか?」


野島とは信じられないくらいの弱さを晒した声。


いつもは強気でふざけてて……怒鳴りつけたいくらいの憎まれ口を叩くくせに。


……なによ。


なんだってそんなにつらそうなのよ。


どうしてあたしにそんな姿を見せるのよ。


どうして……他の人を呼んじゃいけないの?
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