くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「あらあら、もっとしっかり者がいたわね」


野島の言葉を聴いた美紀さんが微苦笑を浮かべた。


あたしはそんな野島のがめつい態度にカチンときた。


アルバイトしたことないから5000円稼ぐのにどれだけ働かなきゃいけないのか、あたしは知らない。


だけど、美紀さんの要望は取材に協力する事と、露店で好きに遊びながら写真のモデルになること。

これで軍資金の5000円渡されたんだから、いったい何が不満なのよ!?


「ちょっと、野島 勇人! あんためちゃくちゃ図々しいでしょうが!
これだけ好条件でタダで遊ばせてくれるのに、この上お金せびるって、どんだけがめついのよ」


我慢ならなくて指差しながら怒鳴りつけたけど、やっぱり野島はあたしを霞か何かみたいに無視する。


――ガチン、と来ましたよ。


アタマの中で何か鐘でも鳴らされた感じ。


重くて痛いショックがあたしの中を突き抜けたから、あたしは腹立ちも手伝って野島に言葉で噛みついた。


「なによ……野島勇人、なんであたしを見ないのよ!?
あたしが何かしたわけ?
なら言ってみなさいよ、あんたの口で!
あたしはここにいるんだから、逃げやしないから!
ちゃんと見なさいよっ!!」
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