くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「あいたっ!」
突き出した木の枝に額をぶつけて、思いっきり涙が出たし。
「おい、大丈夫か?」
勇人がしゃがみ込んだあたしに心配そうに声を掛けてくれたけど、あたしは八つ当たりめいて木に文句を言った。
「もう! 何なのよ。こんな場所に枝を伸ばさないで! あたしの許可を取ってからにしてよ」
「おまえ、むちゃくちゃ言うなよ」
勇人が呆れてそう言うけど、年頃の女の子の顔は大切なんだからね~!
そりゃああたしの顔の造形はブサだけど、それでも気にするんだから!
ジンジンと痛む額を押さえながら勇人に助け起こしてもらったあたしは、もう一度文句を言おうと枝を見て気付いた。
枝に蔓が絡まって、その先に緑色のドングリみたいな実が鈴なりに成ってるのを。
大きさは3センチくらいで、ちょっとすべすべした皮に覆われてる。
「ねえ勇人、これって何の実? ドングリじゃないよね」
あたしが何気なく指さすと、振り向いた勇人の顔がパッと輝いた。
「お、これサルナシの実じゃん! すげー! 瑠璃香やったじゃん」
「え、そんなにスゴいの?」