くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
で、それはそれでいいんだけど。


問題はその後、野島の家に着いた時だった。


あたしは知らなかったけど、野島はわりと近いアパートに住んでいた。
何せ同じ町内の何丁目くらいしか住所が違わなかったんだから。


で、その近いアパートで野島を待ってたのは、大家さんによる家賃滞納による退去勧告に、アルバイトはクビっていうダブルパンチ。


要するに、野島は収入の宛ても住む場所もなくしてしまったというわけ。


困ったな、と言いながら全然困った様子を見せない野島のずふとさに呆れながらも、さすがにこうなればあたしもハイさよならと立ち去るなんて非人道的な事出来やしない。


だから、仕方なくもう一泊しなさいよ、と言えば、最初遠慮してた野島も意地になったあたしの脅迫めいた「あんたの本性ばらすよ。特にクラスの女子に」という言葉にやむなく折れて我が家に引き返した。


やっぱり野島は自分の本当の姿を知られるのを恐れてる、と確信を持つに至ったのだけれど、どうしてという疑問を氷解させる答えは見つからない。


あたしは当然本人に訊ねてみたけど、やつはのらりくらりとかわして結局は本当の理由がわからない。
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