予言と未来



「実は、此処は人界(じんかい)と呼ばれています。」



リホは人差し指を、ぴっと立てた。



「この人界の他に、3つの世界が在るんです。」

「全部で4つ在ると?」

「はい。」



リホは笑顔を崩さない。



「天使が暮らす天界(てんかい)。
悪魔が暮らす地界(ちかい)。
そして、私達が暮らす空界(くうかい)。」

「…………。」



天使と悪魔が実在する。



そんな事を聞かされて、愛光は頭が痛くなって来た。こめかみを指で押さえながら、愛光は質問する。



「“私達が暮らす”って言いましたけど、それなら貴方方は何て言うんですか?」

「はい、私達は幻獣(げんじゅう)と呼ばれています。」

「幻獣……。」



慣れない言葉を、愛光は反芻する。



「私は別の世界から来ました。空界には、苗字が無いんです。だから名だけ名乗りました。納得して頂けましたか?」



リホの問いに、愛光は頷く。



「それでは、天使と悪魔の事は解ると思うので、幻獣について話させて頂きます。」



そう言いながら、リホは自分の翼を撫でた。



「さっき、“見えるんですね”って言いましたよね、私。」

「はい。」



初めてリホに会った時、彼女の翼を見て驚く愛光に、彼女は そう言った。

< 11 / 258 >

この作品をシェア

pagetop