予言と未来
「実は、此処は人界(じんかい)と呼ばれています。」
リホは人差し指を、ぴっと立てた。
「この人界の他に、3つの世界が在るんです。」
「全部で4つ在ると?」
「はい。」
リホは笑顔を崩さない。
「天使が暮らす天界(てんかい)。
悪魔が暮らす地界(ちかい)。
そして、私達が暮らす空界(くうかい)。」
「…………。」
天使と悪魔が実在する。
そんな事を聞かされて、愛光は頭が痛くなって来た。こめかみを指で押さえながら、愛光は質問する。
「“私達が暮らす”って言いましたけど、それなら貴方方は何て言うんですか?」
「はい、私達は幻獣(げんじゅう)と呼ばれています。」
「幻獣……。」
慣れない言葉を、愛光は反芻する。
「私は別の世界から来ました。空界には、苗字が無いんです。だから名だけ名乗りました。納得して頂けましたか?」
リホの問いに、愛光は頷く。
「それでは、天使と悪魔の事は解ると思うので、幻獣について話させて頂きます。」
そう言いながら、リホは自分の翼を撫でた。
「さっき、“見えるんですね”って言いましたよね、私。」
「はい。」
初めてリホに会った時、彼女の翼を見て驚く愛光に、彼女は そう言った。